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2007年1 月24日 (水)

シリーズ・書写を考える<3>

序章「中国に書写を問う 安徽省師弟旅」その3

 テレビ企画「日本・中国書道対決」の撮影に付き添って中国滞在中の日本書写能力検定委員会の渡邉啓子師範は23日も安徽省の山中のホテルから日本に画像や記事の送稿を試みた。しかし、電圧の不安定なども手伝って十分には果たせず悪戦苦闘。それでも何枚もの写真送信には成功した。簡単なリポートとともにグラビアで構成する。
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 ◎従来への漢字に寄せる思い◎

 今度中国に来て感じたのは、従来の漢字(繁体字)よりも筆画を減らした漢字である簡体字が少し増えたかな、ということです。簡体字は1960年代に制定されたもので、出版物などは全て簡体字です。学校教育でも簡体字を教えます。

  しかし街中を歩くと看板の大半は従来の漢字の繁体字が中心です。日本人の私にもなんとなく内容が分かります。添付した写真はいずれも安徽省での町並みのスナップですが、
「文筆荘」「旅館」などは日本人にも読めます。


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China02

China03


 「どうして看板などには繁体字が多いのですか?」と街の人に通訳さんから尋ねてもらいました。「そりゃ、意味が込められた昔の(繁体字の)方が本来は好きさ」。70年代の終りに簡体字をさらに簡略化しようとしたところ「見苦しい」などの意見が強くて進まなかったという話を以前聞いたのを思い出しました。


◎日本の書写への評価に驚く◎


 中国の人の日常生活は鉛筆やペンの硬筆で簡体字を書いています。毛筆で従来の繁体字を書くことはほとんどないようです。学校教育も簡体字で行われていますが23日に訪問した徽州師範学校では書を専門にやっている学生たちもいました。訪問したのは自習時間だったのですがいろいろ話すことができました。

China04


私からは日本の「一芸入試」の話をしました。書写を一生懸命やってきた生徒が、大学の自己推薦入試などで高い評価を得ているということを紹介したら驚いていました。しかし、看板だけでなく各地に残された碑文などを見ても中国の長い漢字の歴史には圧倒されます。師範学校の学生たちがどういう熱意と目標を持って書の修練に励んでいるのか、今後の交流で深く知ることができればいいな、と思いました。

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