蝉の声に思う
蝉の鳴き声は、不思議だ。
騒々しくて胸を乱すようであり、哀しくて胸のうちを押し込めるようでもある。
生の尊さを叫んでいるように聞こえるからか、何ともいえない胸苦しさを覚える。
『ずいせん学徒の沖縄戦』(宮城巳知子著、ニライ社)という本を読んだ。
ずいせん学徒とは、戦争当時沖縄にあった7つの高等女学校がそれぞれに結成した看護要員隊の一つである。宮城さんはずいせん隊の一人だった。
ひめゆり学徒隊がよく知られているが、ずいせん隊は学徒数が少なく、また生き残った関係者が散りぢりになるなどで記録がなかなか残らなかったため、存在が埋もれてしまったという。
長年平和ガイドを務めている宮城さんは、前書きで、「学んだ者がなぜ書くのをいやがるか。なんでも書くことが大切になる」という母の口癖の重要さを今ほど感じているときはない。話し言葉は消えてしまう・・・と本執筆の動機を述べている。
ずいせん隊は最前線の主力部隊に従事し、激しい戦線の中を生き延びねばならなかった。
宮城さんが便所で用を足している最中に背後の板壁が機銃掃射をあびて吹き飛び、うつぶせたまま九死に一生をえたこと、足手まといになる兵士に毒薬の注射が打たれたこと、毒ガス攻撃からの脱出・・・そこに書かれていることは、今の沖縄の澄み切った海の静けさとはかけ離れた地獄図。
戦争を知らない者は思いを馳せることしかできないのだけれど、当時を知る方々が懸命に書いてくださったものに目を向けて読みついでいくこと・・・・その努力を怠ると、気がついたらこの国が恐ろしい方向に進んでいるかもしれない。
照りつける太陽と息苦しい熱い空気、粘りつくような蝉の声を聞きながら、62年前の夏を今年も思う・・・。
やっとネットを繋げてもらえました!!
昨年の8月6日、私は子供と広島に行きました。
そろそろ子供達もわかるかな?と思い、広島で原爆と平和を勉強するピースアクションという2泊3日の企画にで参加させて頂きました。
色んな慰霊碑を周り、被爆者の証言をお聞きし、辛い出来事を思い出しながらも「伝えていかなければ」という想いが、ひしひしと感じられました。
物があふれ、恵まれすぎて育った子供達、平和ボケした贅沢三昧の大人達。
自分が伝えられる事、自分に出来ることは何だろうと、ずっと考えていました。
でも結局、私には「書く」ことしかありません。
今年の夏は、四日市で、原爆のパネルと共に、被爆者の方々の詩や語り部を書にして、3日間だけですが「戦争と平和」を伝えるパネル展をさせて頂けることになりました!
自分一人ですが、作品展の時のように、一人でも多くの方に見ていただけたら・・・と思っています。
投稿情報: 今村恵美 | 2008/06/24 2:17:03