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2008年10 月13日 (月)

地域主権型道州制と教育

中央集権と教育荒廃を具体的に論ぜよ
 秋の三連休に奈良を訪ねた。鹿の角切りが真っ最中の奈良市内を見物したわけではなく、関西道州制推進連盟が主催する江口克彦氏の「日本全国を元気にする!地域主権型道州制を語る」講演会に参加してきた。
 早稲田時代の親友、高松義直君が大阪の読売新聞社を卒業後、ふるさとの奈良を元気にするにはどうしたらいいかと考えた末、道州制推進の関西連盟を立ち上げ、手はじめに講演会を開くことになった。講演会のサクラを務めたら、その後久しぶりにゆっくり彼と呑み明かすつもりでの大和路だった。

 なじみのないテーマだったが、講演会は面白かった。連休の中日だというのに七十人近い人が会場の奈良県経済倶楽部経済会館に詰め掛け、熱心に講師の江口氏の話に耳を傾けた。

 江口氏はPHP総合研究所社長。内閣官房の道州制ビジョン懇談会の座長も務めているが、舌鋒鋭く霞ヶ関官僚の腐敗と独善ぶりを突き、東京の1人勝ちと地域の疲弊を嘆いた。東京の住人として1人勝ちの恩恵に浴している実感はさらさらないが、人も情報も金も、何もかもが東京圏に一極集中する様子と弊害はよく分かった。「日本を守るには、中央集権を廃し、国の形を作り変えなくてはいけない。そのためには地域主権型道州制が必要だ」という江口氏の叫びは感覚的によく理解できた。

 しかし、各論となると具体的にどうすればいいのか、見えてこないものも多い。例えば教育。三時間近い講演の中で江口氏は教育にはほとんどといっていいほど触れなかった。1府6省の中央省庁再編案の中で、文科省の廃止と総務省に教育局を置く配置が示されたが、結局、総務省教育局が文科省的な機能を果たすだけではないのか。言い換えれば、全国の学校の授業の雛形を決める学習指導要領の要・不要、教科書制度の功罪など教育制度の根幹を徹底議論しない限り、江口氏のように「中央集権が教育を悪くした」と言い切るだけでは事態は解決しないのではないか。

 結局、時間がなくなって日帰りのあわただしい旅になったが、親友のおかげで教育分野としても面白いテーマに出会えたな、と思いながら終着の新幹線で帰宅した。