いじめの定義緩やかに;見逃し防止で文科省
「いじめ調査が実態を反映していない」と批判されている問題で文科省は、いじめの定義や調査を見直す具体的な方向を示した(朝日、毎日11日朝刊)。いじめの文科省定義は「自分より弱いものに対して一方的に身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じている状態となっている」。朝日によると、見直しではこの定義から①一方的に②継続的に③深刻な、という3条件を削除する。学校や教委がこの3条件を厳格に解釈するあまり、いじめと認定しないケースが多く、調査結果が実態とかけ離れたものになってしまうからだ。また、文科省は今後のいじめ全国調査では公立だけでなく国立、私立も対象に含めることにした。
<谷口のコメント>
◎裁判にかけるのではないから現実即応でいい◎
文科省のいじめ全国調査がまるで実態を反映していないことが問題になった(10月23日付け当コーナー「実態繁栄しない文科省統計」参照)。報告はゼロなのに後になって事件が明るみに出るケースが相次いだのだ。できるだけ隠したいという心理も働くのだろうが、文科省のいじめ定義が厳密すぎて適用に迷う例も多々あったようだ。だから今回、判定に苦しむ「継続」「深刻」などを削除することはいいことだ。大事なのは統計のためでなく、先生たちが「いじめかな?」と感じたら即座に動くことだから、その意味でも定義の緩和は心理的効果があるだろう。
教育再生会議で「いじめた側を出席停止に」する措置が議論され、報告書に盛り込まれなかった経緯があるが、今回のことを考えても出席停止措置発動の難しさが分かろうというものだ。文科省は今回の調査見直しで「いじめの有無を児童・生徒の立場に立って判断する」ことを強調している(毎日)。基本的にそうあるべきだ。学校は法廷ではない。
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