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2006年11 月27日 (月)

いじめっ子、出席停止に;再生会議提言へ

  政府の教育再生会議が今週中に発表する「いじめ問題への緊急提言」の概要が26日明らかになった。いじめた側の児童・生徒への「出席停止」措置の厳格な適用、いじめを助長した教員への懲戒処分が柱となっている(毎日27日朝刊1面)。問題児の出席停止は学校教育法26条が認めるところだが、02年1月の法改正で問題行動の内容が「他の児童の心身に苦痛を与える行為」など基準が明確にされた後も適用例はごくわずかにとどまっている。再生会議は「運用が遠慮がちで効果が上がっていない」と分析し、積極的な適用を提言することにした。教員の懲戒処分はこれまで不法行為や体罰が中心。一部の市町村教委ではいじめを助長したり加担することを処分対象にしており、再生会議はこうした措置の拡大を目指す。

 <谷口のコメント>
 ◎排除路線で効果はあるのか?◎
 安倍教育改革は最初からこれまで取りざたされてきた改革メニューのチリを払って並べて見せる「焼き直し改革」の様相を見せている。文科省メニューの焼き直しばかりだ。大学の9月入学やバウチャー制度が代表的だ。改革に妙案なし、ということなのかもしれないが、ほとんど根本的な議論をしないで表面だけの対応策を並べようとする政治的パフォーマンスのせいもあるだろう。今回の「出席停止」もホコリまみれの対応策ではある。

いわゆる米国流「ゼロトレランス」(寛容度ゼロ指導)の潮流についてはこのコーナーでも5月23日と6月17日の2回、取り上げた。国立教育政策研究所と文科省は5月23日、問題行動を起こした小中学生を出席停止とするなど厳格な対応を求める報告書を公表、文科省は6月、この報告書に関する通知書を出し、地教委にゼロトレランス方式を参考にして指導方法の確立に努めることなどを求めた経緯がある。

問題は、この20年間、抜かずの宝刀「学校教育法26条」の積極適用が叫ばれながら、なぜ現場がついてこないかを根本から考えて処方を見出すのが再生会議の仕事ではないか。それを「何だか遠慮がちだ」程度の認識で「宝刀を抜け」の号令を出そうというのはいただけない。
全体に今回の教育改革路線は政府の威光をカサに着て蛮勇を振るおうとする武断路線に見える。教育という営みは一刀両断に決することにはなじみにくい。グレーゾーンをじっくりと議論することが必要だ。学校の怠惰もたしかにあるけれども、誰が加害者かを見定めることは言うほど簡単ではない。さらに学校という教育の場から子どもを排除することは極めて重い措置である。排除の論理は教育的ではない。

再生会議緒でどのような議論があったのか知りたい。結論だけが闇の中から放り出されてくるような新聞報道が続いている。首相官邸ホームページの再生会議コーナーを見ても、分科会の議事要旨でさえも3週間前のものしか掲載されていない。教育再生分科会(第3分科会)にいたっては開催日時さえ書かれていない。まだやっていないということか?どうも議論が見えないもどかしさを多くの国民が感じているのではなかろうか。

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