ほめて育てる;「女の気持ち」
毎日6日朝刊生活家庭面の読者投稿欄「女の気持ち」に18歳の高校3年生が<一言>というタイトルで書いている。彼女は幼い頃から母親にほめられたいと 願ってきたのに、どういうわけかほめてくれない母親が嫌いだった。高校生になってからはそんな気持ちもとうに忘れてしまっていたが、あるとき夕食の席で突 然母親から「あんたの送辞ね、会社に持っていってね、人に見せたんだよ。『あんたはいい娘もったねえ』って言われて、お母さんも『あ、そうだな』って思っ たよ」と言われた。在校生代表で任された送辞が「学校たより」に載って母親の目に触れたのだった。この一言で「ぶわっとのどの奥が熱くなった」私は「ふー ん」と言いながら自分の部屋に逃げこんだ。「年をとっても私はきっとこのお母さんを守っていってあげるんだろうと思ったのは、18年間生きてこの日が初め てだった」そうだ。
<コメント>◎親の心、子知らず。語らなくてはね◎
「女の気持ち」は毎日を代表する名物投稿コラムの1
つ。日常生活で女性たちがふと感じる心のひだを表現した作品が目立つ。愛読者も多いが同紙の読者層を反映してか中高年のご婦人の投稿が多く、18歳は珍し
い。この作品は女の気持ち、というよりも多感な少女とその母親との心の交流の一こまを鮮やかに切り取った秀作だ。子どものころ母親にもっとほめてとすねた
こともあるという彼女はお母さんが好きでしかたがない子なのだろう。一方のお母さんはきっと朴訥で誠実な人柄に違いない。娘から見れば、どことなくもっと
踏み込んだ、繊細な会話が欠けたままに過ぎてきたのかもしれない。これが男の子だったらどのような展開になったのか分からないが、ほめることも含めて親は
もっと饒舌に子どもに語りかけた方がいいようだ。
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