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2006年6 月28日 (水)

割れる社説:教員免許に更新制導入

 中央教育審議会の教員養成部会が、教員免許を現教員109万人も含めて10年更新制にする答申案をまとめた。これを受けて28日朝刊は朝日、毎日両紙が社説を掲載した。朝日は免許更新制導入に反対。弊害が多く予想され、ダメ教師対策は都道府県・政令指定都市に設けられている教員指導力判定会議の活用や研修の強化で対応するべきだと主張する。毎日は更新制そのものには反対せず、教員の養成・採用・研修の在り方全体を見通した改革が必要だとした。毎日は免許制導入が行政の教員支配強化につながるのではないかという点には全く言及していないが、朝日は「更新制の副作用として、教育委員会が気に入らない教員を落としてしまうのではないか、ということも考えられる」と主張している。

 <コメント>
両紙の主張は一見大差ないように見えて大きく違う。そのポイントは、教員への国家統制の強化に対する危惧を前面に出すか出さないかにある。その意味で毎日社説は楽観的過ぎる、というか最大の争点に触れていないのは意図的なのか不勉強なのか。一方、朝日社説は文科省→地教委→現場の構図を図式化し過ぎている感が強い。更新制の副作用として地教委の恣意的判断を挙げるなら、実証的に言わなくてはいけない。

ただ、前回この欄で取り上げた際にコメントした内容は次のようなものだった。「たかだか30時間ぐらいの講習でダメ先生が優良先生になるものだろうか?とすれば更新制は教師支配のきれいなピラミッドを構築するための仕掛けの強化であると言えなくもない。そういう危ない仕組みを作るよりも、ダメ先生をスピーディに合理的に教壇から追い出す方法を考えるべきだ」。朝日社説と酷似した論理構成だ。当方も主張を裏付ける調査報道に力を尽くす必要があるが、大組織の報道機関に一義的には期待したい。毎日も朝日も、教員の養成・採用・人事の各局面での「教師と権力」の関係を調査し報道してほしい。

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