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2006年6 月22日 (木)

福井さんは辞めるべきだ

 「これで株を買ったら新聞記者としてまずいだろうな」という場面が何度かあった。インサイダーというやつである。新聞が市場操作の道具と化す様な事件がもし明るみに出れば、その新聞はたぶん生き残るわけにはいくまい。そんな誤解を招きかねない行為に手を染めることは記者としてブレーキがかかって当たり前だ。そういう観点から福井俊彦日銀総裁の利殖問題を見ていると、福井さんの不誠実な言い逃れは許しがたいと感じる。

  「ニュースが分からん」という奇妙な企画をやっている朝日新聞が「分からん」コーナーで日銀総裁とは?というのをやっていた。読んでみればなるほど日銀総裁というのは地味だが大事な仕事だ。言ってみればおカネのことの総元締めである。元締めというのは力だけではだめで正義と道徳を体現していなくては真の元締めとは言えまい。福井さんの行為はその規範に著しくはずれていないか。

1000万円運用して1473万円も儲かる話が危なくないはずがない。案の定そんなに儲けさせてくれた村上ファンドの化けの皮がはがされた。日銀総裁が後ろ暗いカネを懐にしていいのか。少なくとも3年前日銀総裁に就任する際に村上ファンドとは手を切る必要があった。おカネの元締めとしての意識があれば事件化する前であってもそうした行動に出たはずだ。「当初から利益を得るつもりがないので利殖行為に当たらない」というのもたいした詭弁だ。「そんなのウソだい」と子どもでも言うだろう。ウソつきはドロボウの始まりだから、それだけでも福井さんが職にとどまっては子どもへの悪意影は極まりない。

 異例のゼロ金利政策で零細な生活者をいじめ、銀行ばかり良い思いをさせてきた人、というのが我々庶民の日銀総裁観である。その裏で自分だけいい思いをしていたというのではまさに悪代官のイメージそのものではないか。政府もこぞって福井氏擁護に回るのを見ていると、いったいこの日本はどこへ行ってしまうのか、と嘆きたくなる。
読売の緊急調査によると「福井総裁は辞任を」という人が4割いたという(22日朝刊1面)。むしろ低すぎる数字に思える。

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