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2006年6 月22日 (木)

「さすまた」半数が装備;学校安全調査

  各紙22日朝刊は文科省の学校安全調査結果を大きく報じた。調査は国公私立の幼稚園から高校まで約5万3000校全てを対象にしたいわゆる悉皆(しっかい)調査で昨年に続いて2回目。

1面で取り上げた読売は、今回初めて調査項目に加わった「防犯器具」に注目。何らかの器具を装備しているのは幼稚園約61%、小学校78%、中学校約63%、高校約40%だと紹介。器具別で最も多いのは「さすまた」(先端がU字型の棒で侵入者を制圧するのに使う)で約52%、次いで警杖(けいじょう)約16%、催涙スプレー約15%となっている。「教職員が実際に使う訓練も各地で進んでいる」という文科省幹部の話も伝えている。同紙は対社面で「子どもは地域が守る」運動も着実に広がっていることも紹介した。今回の調査では地域ボランティアによる巡回・警備を行っている学校は全体の約49%、小学校は約64%にも達することが分かった。

  朝日はソフト面での対応が遅れていることを指摘した(3面)。子ども向けの防犯訓練をした学校は昨年比3.1%増の69.8%、通学路の安全マップを作成したのは3.7%増の60.3%にとどまったと問題視している。毎日は8割の学校が危機管理マニュアルを作成していることに着目、「マニュアルや防犯教室の実施は多額の費用がかかるわけではないので100%の実施を目指してほしい」との文科省の意向を紹介している。

<コメント>
 「さすまた」と言えば「御用だ、御用だ」の時代劇で捕り方が犯人逮捕に使うのを見ることがある。学校に不審者が侵入して起こす惨劇が相次いだため導入する学校が増えた。職員室や校長室に「さすまた」が鎮座する光景は笑える、というと不謹慎だが、教育現場にはなじまない道具であるのは間違いない。それだけ事態が深刻なのだ。年に1,2度「さすまた」訓練をする学校も多いのだが、先生方と話すと実効性に疑問を持っている方が多い。女性教師はもちろんだが、男の先生でも「いざとなって使えるかどうか…」。当たり前だろう。先生は捕り方ではない。

  調査結果を見て思うのは、なんと膨大なエネルギーを強いられているかということだ。しかも、いずれも対処療法であって確実に犯罪を抑止できるわけではない。学校・通学路安全の手を緩めるわけにはいかないが、同時に警察治安力の向上や地域の防犯意識の高揚にどう取り組むか、長期的な対応が必要だろう。そして最も基本的には、どこかおかしくなりすぎてきた人と社会の在りようをどうするか日本人全員が真剣に考えることが求められているのだろう。

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