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2006年5 月18日 (木)

アナン事務総長会見

 各界の要人を招いて日本記者クラブで行われる記者会見に時間のある限り出るようにしている。見聞を広めると共に速報のナマの現場になることもあり、現役たちの緊張した空気に刺激されることも多い。今日はアジア諸国歴訪で来日中のアナン国連事務総長の登場だ。

  会見は夕方5時45分から日本プレスセンタービル9階で約40分行われた。窓外に広がる日比谷公園の新緑が鮮やかだ。会場には150人ほどの記者ら。予想 したより地味な会見模様だ。ニューヨークを発つときから歴訪関連の記事やインタビューが流れており、すでにホットなニュース性はないということか。それで も会場の後ろに10台のTVカメラが並んだ。

 中肉中背ですらりと締まった体形のアナン氏が演壇に立つ。褐色の知的で精悍な顔。いかにもダンディな着こなしの背広姿。68歳とは思えない若々しさだ。
  今年末に通算10年も務めた国連事務総長の座を去る彼がどのような喜び悲しみの気持ちをを抱いているかに注目したが、ソツのない官僚答弁からは胸中は推し 量りがたかった。あちこちの国に配慮しながら世界の融和を保っていこうとすると感情をあらわにしていては務まらないのだろう。来日のたびに日本記者クラブ で会見に臨んでいるといい、今日が6回目とか。質問者の顔をまっすぐに見詰めて耳を傾けるが、都合の悪い質問には論点をはずして答えるなど老獪な答弁ぶり だ。同時通訳者がかなりの部分を英語のままで伝えるのも不案内な当方としては腹立たしい。

 最後に司会者が「アメリカのイラク戦争は正しい戦争だったと思うか?」と問うたのに対して「戦争は皆が敗者です」と言い切る姿に一国主義の横暴なアメリカに対する苦い思いが汲み取れた。

  「いやーまいったな」「コアの話がないもんな」。会見後の会場で、どこかの外国通信社の記者が達者な日本語で感想を言い合っていた。もし自分が速報すると したら何を書くか思案するが記事にまとめられそうにない。悩んでいると顔見知りのOB記者の姿が見えたので「なにがポイントですかね」と教えを請う。「会 見でにじんでいたものはだね・・・」。その先輩は自分の切り抜き資料をコピーまでして解説してくれた。遠い昔、切羽詰った会見場で同じように他社の記者に 助けられた情景が深い記憶の奥底から蘇った。

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