タラコの心臓 ~ひとつの決心
10月、タラコの心臓の精密検査をすることになった。
4歳をすぎても、穴の状態に進展が見られないので、そろそろ検査して手術の要不要を判断してもいい頃ではある・・・と主治医に言われていた。
春の検診で「この次の検診までに、お父さんとも話してきてください」と言われ、その2ヶ月間はどうしたらいいのか考えない日はなかった。
とにかく、タラコが幼稚園に入って、周りの子と比べてどうかをまずは見てみよう・・・と考え続けた。
タラコが幼稚園から帰るときに、毎日のように泣いたりグズったり怒ったりするのは何故か・・・母親の顔をみて、精一杯頑張っている緊張が切れて感情があふれるのせいなのか、帰ってきてへたり込む姿を見ると肉体的ハンディでどうしようもなく疲れるのか。暑くなってくると人一倍汗まみれなのはやはり心臓のせいなのか・・・・などなど、いろんな思いに日々、気持ちの行き場がなかった。
昨年も感じたことだが、やはりタラコの汗のかき方はやっぱり半端じゃない。さほど暑くもないのに、寝ているとき頭中に玉のような汗をかく。拭いても拭いても噴き出している。夜中も気がつくとガーゼで拭いてやる。そのたびに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
冷房がガンガンに効いた部屋でも額に汗かいて頬をつたって落ちてくることもある。ただ汗をかいているだけなのに、スーパーでも「あら、プールに行ってきたの?」と声を掛けられるほど、髪から滴る。
こんな状況を見ると、これだけ汗をかくって肉体的に相当負担だろうと思わざるを得ない。自分で考えてみても、滴るほど汗をかくなんて相当な運動量のときだもの。
自然に穴がふさがるかもしれない・・・・ほんのわずかな可能性にかけて、これだけの負担をさせていいのだろうか、と思うようになった。こんなにお転婆で活発な子だけに、思うだけ動ける肉体にしてやることのほうがいいのではないか。
カテーテル検査を受けることにした。カテーテル検査を受けるということは、「とりあえずやるだけ」ではない。検査結果次第では手術へコマを進める、つまり「検査の先」への覚悟がなければ受けられない。その覚悟をした。
検査入院の日程が決まり、タラコに「入院するよ」と説明した。「やだ!やだ!こわい!!」と泣かれた。「いつもより時間をかけて調べるだけだから」と言い、どんなことをやるかは説明しなかった。「わかった。わたしがんばる」と言うので、涙がでてきた。
今日も知人に「秋に検査入院することになって・・」と話したら、タラコが横から「わたし、ほんとうは入院いやなんだけどね、入院しなきゃいけないの」。
涙がこみ上げてきた。でも私が涙をみせてはならない。
タラコの心をしっかり守ってやらなきゃならない秋になる。
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