沖縄戦の住民集団自決に軍が関与:沖縄県議会が文科省批判の意見書採択へ
「軍の関与なしに集団自決有り得ない」と抗議
文科省が今年3月に発表した06年度教科書検定(高校中学年)結果で、沖縄戦での住民集団自決を巡る「日本軍に強いられた」との記述に修正意見が付き、書き換えられた問題で沖縄県議会文教厚生委員会は19日、文科省の検定意見撤回と強制性の記述復活を求める意見書案をまとめた(毎日20日朝刊第3社会面)。沖縄慰霊の日(6月23日)の前日の22日、本会議に議員提案する。全会一致で採択される見通しという。意見書案は集団自決を「日本軍の関与なしに起こりえなかったことは紛れもない事実」とし「県民にとって今回の修正案は到底容認できるものではない」としている。本会議で採択し、県議団が安倍普三首相らに充てた意見書を提出する。沖縄県内ではすでに同様の意見書が41市町村議会のうち30議会で採択されている。
<谷口のコメント>
◎当然の抗議だ◎
<集団自決「軍強制」を修正/高校教科書 沖縄戦で検定意見>(朝日3月31日朝刊1面)のニュースを読んだとき我が目を疑った。1982年のいわゆる「侵略進出」記述が騒がれた教科書検定で決着した問題だと思っていたからだ。その時の検定では集団自決に軍が関与したという趣旨の証言が掲載された沖澤県史を文部省(当時)が「1級資料とは言えない」として集団自決にからむ記述を修正させた。これに対して沖縄全県で抗議の声が湧き起こり、結局、検定意見は撤回されたと記憶している。沖縄の2大県紙、沖縄タイムズと琉球新報の反文部省キャンペーンは凄まじいものがあった。今回は沖縄の反応が紙面に出てこないので「おかしいな」と思っていたが、各地で抗議の声は湧き上がっていたわけで伝えもらした本土マスコミの怠慢だった。
先の大戦で住民を巻き込む大規模地上戦となった沖縄戦。「生きて虜囚の辱めを受けず」の戦陣訓が広く世間に生きていた時代、阿鼻叫喚の世界で軍民ともに正常な精神状態だったとは言い難いだろうし、自決を命じたと書かれた元守備隊長が損害賠償と出版差し止め訴訟を起こしている事実もある。すでに組織的統制を失った日本軍が系統だった行動に出ることはあり得なかったとしても、多くの証言は「命令なくても強要同然だった」ことを示しているのではないか。その場面に遭遇した住民の声が最もよく実相を伝えていると考えるのが自然だろうと考える。
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