全国学テの不参加を最終決定;愛知・犬山市教委
来月24日に行われる全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)への不参加を表明してきた愛知県犬山市の教育委員会は22日開いた臨時委員会で、学テへの不参加を4人の教育委員全員一致で最終決定した。不参加決定は全国でも同市だけ(毎日ウエブ版)。会議では4人の委員が「テストにはプライバシー上、問題がある」「全国の校長へのアンケートでは、3割がテストに反対しており、犬山だけが特異ではない」などと不参加を支持する意見を表明。結局「『○×』で能力を評価する学力テストは学ぶ意欲を育てる犬山の教育になじまない」とこれまで通りの不参加の方針を確認した。
昨年末の市長選で初当選した田中志典市長らが参加への方針転換を求めており、同市長はこの日の会議にも出席。冒頭「不参加を決めてから保護者説明会を開くなど順序が逆で、手続きに問題がある」などと発言、「大事な会議に欠席する」など瀬見井久教育長の勤務態度を批判した。これに対し教育長が「『選挙で公約したから(学力テストに)参加を』などと政治が教育に介入してくるのはよろしくない」などと反撃する一幕もあった。
<谷口のコメント>
◎教委改革論議の試金石だ◎
市長と教育委員会の間にどういういきさつがあったか分からないが「だから教委も首長の直接支配下におくべき」と見るか「だから教委の自律性は確保されるべき」と取るか、意見が割れるだろう。目下の改革論議は前者の勢いが強いが、そもそも教委制度は後者の考え方から始まったものだ。それにしてもなぜ教育長を罷免しないのか。教育委員、教育長の任命は首長の専権事項だが議会の同意が必要だ。それが与野党逆転しているなどの事情があって市長が教委人事を思い通りにできない壁になっているのだろうか。興味深いケースだ。
しかし、一番の問題は市長、教委どちらの意見に教育の大義があるか。「学ぶ意欲を育てる犬山の教育」の実体がいかほどのものかは知らないが、報道で見る限り手続き論批判しかできていない市長側が圧倒的に弱いと言わざるを得ないだろう。
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