位置付け不透明で混乱する教育再生会議;毎日「土曜解説」
教育再生会議の位置づけをめぐって政府部内でも混乱があるという。毎日13日朝刊「土曜解説」が内情を書いている。一番のポイントは文科省との関係。早い話がどっちが上かということだが、「(再生会議は)結局は文科省の総花的な政策の後追いで終わるとの観測が強まっている」という。
再生会議は閣議決定に基づいて置かれた会議で、民間委員17人に首相、文科相、官房長官も加わって構成され、3つの分科会がある。これまで首相官邸で4階の全体会合を開いた。教育担当の山谷えり子首相補佐官と伊吹文明文科相とのさや当てはなかなかのようだ。教員評価の厳格化などを求めた政府の規制改革・民間開放推進3カ年計画をめぐっても、山谷補佐官が「(3カ年計画を)どう実行していくかが再生会議の成果になる」と述べたのに対し、伊吹文相は「とらわれる必要はない」と反発した。文科省の主導権を強調する同文相は「再生会議の意見のすべてを安倍首相が引き取るかどうかは別だ」とも述べ、再生会議で決まっても文科省が実行するかどうかは別問題との立場を鮮明にしたという。
「首相、文科相が加わった会議の結論が提言に過ぎないというのは不自然」という見方もある一方で「教育行政への政治介入は混乱を助長する」と危ぶむ声も出ている。
<谷口のコメント>
◎再生会議は政権の人気取り手段になってはいけない◎
この欄でもなんども指摘していることだが、教育再生会議のプロセスは極めて分かりにくい。先行する中教審や文科省の各施策との関係も理解しにくい。会議が非公開なだけに取材もしにくいのか、新聞紙面でも内情がなかなか明らかになってこない。そういう中で「位置づけ不透明」とするこの記事は参考になる。
再生会議と文科省、どちらの肩を持つわけではないが、政治のきしみで教育の現場に混乱を持ち込むことは避けなくてはいけない。そして何よりも、政権の人気取りパフォーマンスのために制度をあれこれいじるのは厳に慎んでもらいたい。どうも再生会議の議論は、安倍首相の著書「美しい国へ」で登場する改革各論が先にありき、で進められているようで気になる。
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