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2007年1 月 6日 (土)

怨念の計画的犯行か;妹の遺体損壊事件

 東京・世田谷の歯科医宅で、長女の短大生、武藤亜澄さん(20)がばらばらに切断された遺体で見つかった事件は、妹に「夢がない」となじられた予備校生の兄、勇貴容疑者(21)=死体損壊容疑=がいったん自室に戻った後、木刀やひもなど複数の凶器を準備、強い殺意で犯行に及んだ可能性が強いことが自供から明らかになった。6日各紙朝刊が警視庁捜査1課の調べを元に報じたところによると、事件の背景には極めて深刻な兄と妹の確執が潜んでいると見られる。昨今ひん発する家庭内殺人事件は親子関係のもつれが多い中で今回は異例のケースと言えそうだ。

 毎日によると、亜澄さんの遺体は主に関節部分から10数個に切断されていたが、胸部と下腹部が切り取られ、髪も短く刈り取られていた。勇貴容疑者は胸部などについて「流し台のディスポーザー(生ゴミ処理機)で処分した」と供述している。捜査1課は、遺体が見つかったとき性別などの判定を困難にする工作と取れる半面、激しい恨みを示す行為との見方もしている。

 2人はここ3年間も口をきいていない険悪な関係だった。先月30日、父親が外出、午後3時ごろには母親と長男も東北の実家に出かけた直後、状況は不明だが2人に会話があった。読売によると、凶行の引き金になったのは亜澄さんの次のような言葉だったという。「勇君(兄のこと)は『勉強をしないから成績が悪い』というけれど、本当はどうかわからないよね」。勇貴容疑者は「『勉強をしてもどうせダメだ』と言われたと思い、頭にきてやってしまった」と自供している。

タレント志望の亜澄さんは高峰駆(たかみね・かける)を芸名に持ち、短大にバイトにレッスンにと励んでいた。朝日によると、より大きな活躍の舞台を目指し、オーデションに10数回連続して落ちるなどの厳しさも味わっていたという。

<谷口のコメント>
◎夢ってなんだろう◎
 正月早々、吐き気をもよおす事件は分からないことだらけだ。読売社会面に大きく掲載された3浪の兄の送検写真にはまだ幼さが残る。真相は捜査1課の究明に待つしかないが、事件の裏側に若者たちが置かれた悲しき情景が透けて見えるような気がしてならない。「夢ってなんだろう」。兄をなじった妹の胸中にもあっただろう悲しみの色を思わずにはいられない。若者たちと接する機会が多いが、もっと夢について語り合うことをしたいと思う。

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