先生の名言
タラコは2歳半になり、動きもおしゃべりもかなり一丁前になってきた。怒られれば「う、る、さーい!!」と言い返すし、夫マスジの車の運転がちょっと荒いと「パパ、ちゃんと運転してくださいっ!」と注意もする。もともとは、すべて私サザエの口から出た言葉。タラコを責められないのデス。
これまで何気なくしてきた仕草、言葉を学ばれてしまっている。2歳過ぎていろいろできるようになるにつれ、“親そのまま”のことがつぎつぎ現れ、うれしかったり、後悔したり・・・。そのたびに、ひしひしと身にしみてくる言葉がある――「できないんじゃなくて見て勉強しているんですよ」。
近くの児童館に、歌や踊り、体操や手遊びを教えてくれる幼児教室がある。20~30人くらいが自由に集まる、遊び&交流の場みたいなもので、1歳ころから月3回程度タラコを連れていっている。初め、クラスの中でもタラコは月齢が低かったし、慣れないこともあって、教室の中で立ち尽くしていた。しかし何回行っても、チーンと立ち尽くしたままで顔も固まっている。「この子ダイジョウブかしら???」と思い、ついつい手を取って先生がやっているように動かしてみたりした。周りにもそんなお母さんは何人もいた。
先生がある日、「できないんじゃなくて見て勉強しているんですよ。お母さんが楽しんでやってくださいね~。お母さんは先生ですから~」と、おしりフリフリ踊りながら言う。そーかなぁ???と疑惑の念まんまんに、固まるタラコを脇目に粛々と「アンパンマン体操」を踊る日々が続いた。そんなで10ヶ月ほどたったある日、タラコが突然「アンパンマン体操」を踊り始めた。しかも7割がた合っている。難しい顔で固まっていたり、飽きて教室から脱走しようとしたり、周りに関係なくただ走り回っていただけだったのに、いつの間にこんなに覚えていたんだろう!?と感動に近い驚きだった。
このことがあって、一つ肩の力が抜けた。「何とかやらせよう」とする力みを捨てた。なるほど、おせっかいにも手を取って“勉強のお邪魔”してゴメンなさい。私が楽しめばいいのだ! 自分が楽しめると、不思議と家でもついつい歌を口ずさんだり踊ったりして、それでまたタラコが喜んでくれたりする。かくして先生の言葉は私の中の“名言集”に刻まれた。
児童館の教室にはその後も新しい子がやってきて、“かつてのタラコ”が何人もいる。やはり親とは子どもに「できてほしい」生き物なのか、懸命に子どもの手を取るお母さんたち。心情よーーくわかります!! しかし、その子たちのためにも、私は、すっかり得意になった「アンパンマン体操」を“これぞ見よ”とばかりに元気に踊るのでアル!!
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