落語で教育改革
「教育再生には笑いと伝統文化の落語が一番」という理由から仲間2人と3人で「教育再生落語研究会」なるものを作った手始めに24日の日曜日、川崎の「大師寄席」を覗いてきた。北区浮間の地元に住んでいて知り合いの三遊亭小円朝さん(37)が出るからだ。
京急川崎大師前駅から「ごりやく通り」を歩いて約7分。川中島神明神社まで来ると境内に「大師寄席」の赤いノボリが見えた。木戸銭2000円を払って社務所に入ると赤い絨毯を敷いた20畳ほどの座敷が会場だった。
深紅の布で作られた高座のうえで小円朝さんが人なつっこい表情で話し始めた。前座、二つ目と終わっていよいよの真打登場。絨毯の上に14,5人。後ろのパイプ椅子に同じほどの客。「今日は客に乗せられた」と小円朝さんが後で語ったように客はみんなレベルの高い聞き上手。なにしろ「大師寄席」は30年もの歴史を誇る地元の手作り寄席だった。
実行委員会の人が青い表紙の30周年記念誌をくれた。A4判30ページほどの裏表印刷の手作り。05年6月12日の第125回寄席が30周年で、その日は柳家小三治師匠を迎えて盛大にやったそうだ。記念誌によると第1回(1976年2月28日)になんと小円朝さんの実父、三遊亭円之助(三代目)さん出演の記録があった。小円朝さんは大師寄せ初出演だが因縁の高座だった。
「そうそう、円之助さんは当時NHKの朝ドラ、なんてったけな、それに職人さんの役で出ていて名が売れてたんだよ。それで旗揚げに協力してもらったってわけ」。大師寄席実行委員会の連絡先になっている自営業、吉田十三次さん(62)は電話口でうれしそうに振り返った。当日は来られなかったが中心メンバー。赤い絨毯は町内会のものであること、とても木戸銭だけでは足りなくて商店街などの協力取り付けに奔走していることなど運営の厳しさも話してくれた。「それにしてもお大師さんのお膝元のような土地柄だからできるんですかね」と聞くと、「いや、落語が好きなやつがいるかどうかだね」との答えが返ってきた。
肝心の小円朝さんのこの日の出し物はいずれも古典落語の「天狗裁き」と「粗忽長屋」。小円朝さんは古典しかやらないが、中でも「天狗裁き」は客の様子をみるためにやることが多いとか。長屋でうたた寝している亭主が嬉しそうな顔をしているので夢の中身を知りたがった女房が「私に言えないのかい」と迫る。しかし夢なぞ見ていない亭主と大喧嘩に。止めに入った隣人ともけんか、仲裁に入った大家も夢を知りたがって「親も同然のこの私に」と怒ってお奉行さまに訴える始末。その遠山の金さんまでが夢を知りたがり、そこへ高尾の大天狗がやってきて男をかっさらい、夢の中身を言えと迫る…こんなナンセンスな話がテンポよくきりきりと進んで客は大笑い。
教育改革との関連は今ひとつにしても、笑うことが精神衛生にいいこと、伝統文化を守っていくには苦労がいることを学んだ寄席見物だった。
愛知・小牧市立光ヶ丘中学校の玉置です。いつもこの「教育タイムズ」で学ばさせていただいています。「教育再生には笑いと伝統文化の落語が一番」に特に興味を持ちました。 我が校は昨年度は文科省の「日本の伝統文化を尊重する教育」の推進校になり、落語&社会科授業、講談&社会科授業の試みをプロの落語家、講談師の協力をえて行いました。 また落語は小さい頃から大好きで、地元で地域寄席を18年開いています。 今後もぜひ「教育再生落語研究会」の活動記録も掲載ください。楽しみにしています。
投稿情報: 玉置 | 2006/10/05 11:46:52