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2006年7 月 3日 (月)

選ばれない学校のリベンジ;学校選択制の裏側

  通学区外の小中学校でも通える「学校選択制度」が全国的な広がりを見せている。地元の学校に行くという通念が大きく揺らいでいるが、学校側からみれば競争にさらされる時代がやって来たことになる。現実に入学生が増える学校がある一方で、児童生徒の激減に泣く学校も。毎日3日朝刊「教育の森」は都市部にありながら入学者が減った2校を取り上げてルポしている。

神奈川県横須賀市立桜台中学校(生徒数35人)は03年度には36人いた新入生は04年度には17人、今年度は3人になってしまった。大規模中学校と校舎が隣接しているという特殊事情が選択制導入で影響したらしいが、桜台中は発達障害などを伴う「特別支援学級」に力を入れるようになった。特別支援学級には12人が通い市内でも有数の規模だ。しかし、同中は来年4月、隣接校に統合される。保護者の1人は「あえて小規模校を選ぶ子どもについての議論が行政でなされていない」と目的が不明確な選択制度導入を批判している。

荒川区立第二日暮里小(児童数54人)は選択制導入の03年度、入学者ゼロを経験した。校長以下全員が危機感を募らせ学区内の04年度入学予定者の自宅を回り、学校の特色を説明して歩いた結果、14人が入学した。同校では少人数を活かして始業前の15分間、上級生が下級生の面倒を見る自習活動を行い成功している。荒川区には統合計画はない。

<コメント>◎選択制度は必要か?◎
  論議が十分でないままに、いつのまにか学校選択制が当然のこととして全国スタンダードになり始めている。しかし、小中学校のうちから自宅から遠く離れた学校に通う必要があるのだろうかと常々疑問だ。選択制というのは学校がたるんでいるから少し競争させてやろうということなのだろうが、先生が児童生徒集めに狂奔する図はいただけない。何をもって学校の特色とし、それを地域、父母にどう伝えて理解してもらうか。まずはその議論から必要だ。公立小中学校がまずは対抗しなくてはいけないのは私立校である。全国区の私立に対抗する公立の切り札は「地元密着」のはず。「教育の森」の記事は視点の明確化にやや欠けるが、選択制の実態に迫る取材は評価したい。

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