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2006年7 月19日 (水)

初動捜査誤らせた2つの先入観;彩香ちゃん殺害

   秋田県藤里町の小1、米山豪憲君(7)殺害事件の容疑者、畠山鈴香(33)が自分の娘、彩香ちゃん(9)を橋の上から突き落として殺した疑いで再逮捕されたことで毎日新聞は元警視庁捜査1課長、田宮栄一さん(73)にインタビューし<二つの「先入観」指摘>(19日朝刊3面)をまとめた。全国の警察本部にある捜査1課は殺人や強盗などの凶悪事件を扱うセクション。捜査現場に精通した警察官が就くポストだ。

田宮さんは「水死体は、自分で転落した場合でも突き落とされた場合でも、死体の所見は同じ。事故なのか事件なのかは、周辺の捜査をし尽くして判断することが重要だ」とした上で秋田県警に「事故死」と判断させた二つの「先入観」を指摘した。第1点は「こんなのどかな所で子供が巻き込まれる大事件が起きるのか」という先入観。第2は「娘の捜索願を出した母親が事件に関与することがあるのか」という先入観と指摘する。

誤った先入観を覆すのは、経験に裏打ちされた刑事のカン。田宮さんは、彩香ちゃんが足を滑らせたとされた現場を最初に見た時「4月の寒空の下、女児が一人でこんな所に遊びに来るだろうか」と事故死に違和感を覚えたという。

 <コメント>
  ◎ここまで来たか、母性の喪失◎
  元警視庁1課長の指摘する2つめの先入観を補足すれば「これほどひどい母はいないだろうと誰でも思うに違いない」ということだ。実の娘を殺してここまで平然としらを切れまい、と警察が思っても仕方がなかった面は確かにある。だからといって母娘の目撃証言を初動に生かせなかったことなど詰めを欠いた捜査の責任は消えないが、昨今相次ぐ子どもの虐待事件の中でも、母性の喪失、ここに極わまれり、と言うしかない事件だった。家庭の、そして社会の根本が崩れていく感がある。生育歴を含め畠山容疑者の徹底的な人間解析を期待したい。

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