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2006年7 月16日 (日)

もっと文章書かせる教育を;教育研の調査結果

 「日本の子どもの基礎学力を上げるためには、もっと文章を書かせる必要がある」――国立教育政策研究所が全国の小4から中3の約3万7000人を抽出して行った国語と算数・数学の特定課題調査からこんな結果が浮き彫りとなった(各紙15日朝刊)。<論理的な思考「苦手」/「文章書く訓練を」>と集約した朝日(第3社会面)を中心に説明する。

試験は国語は漢字の読み書きと長文記述力、算数・数学が思考力と計算に関する力を取り上げた。その結果、国数ともに論理的に考えたり、筋道立てて考えを表現する力の不足が難点として浮かび上がったという。答えは出せても、そこに至る過程を説明できない傾向もあり、研究所は「国数ともに、文章をもっと書かせる指導が必要」と指摘している。

論理的な思考力をみる数学の典型例としては、底が階段状の水槽に水を入れた際の時間と水位の関係を表すグラフを選ぶ問題で、正答率は最も高かった中3で48%。だが、理由を正しく書けたのは39%だった。 計算に関しても、文章で表現する力は弱かった。小6の「100円のチョコレートが2円引きで売られているが、35個買うといくらか」という問い。正答率は57%。だが暗算で求めるための工夫を書かせたところ、正しく表現できたのは51%で、6ポイント下回った。

国語の長文記述のテーマは、小学生が「テレビの見方」、中学生が「言葉の使い方」。それぞれ400~600字、600~800字で意見を書かせ、「発想や主題」などの観点から評価した。 結果は、算数・数学と同様、論理にかかわる力が弱かった。考えを明確にするための段落構成ができたのは小6で6割弱、論の運びに一貫性を持たせることは中3で7割弱しかできなかった。

<コメント>◎想像通りの結果だ◎
1面、解説面、対社面と大展開した読売がこの調査に「読み・書き・計算能力調査」とうまいネーミングを付けている。朝日ほど文章訓練の不備に焦点を絞りきれていないいが、現場の先生方の声を特集した対社面<現場の実感と同じ>が読ませた。東京都大田区立中学校の国語教師が言っている。「短い言葉をやり取りする携帯電話のメールの普及や活字離れなどから中学生の『言葉を使う力』や『文章を書く力』が著しく低下していると思っていた」。同感である。文章を書く力の弱さは2004年12月公表の国際学力調査(略称PISA)でも日本の子どもたちの弱点として浮上しており、文章力の欠如(論理的思考力の欠如)が算数・数学の学力低下とも関係することは多くの専門家が指摘している。学校はもっと書かせる教育の強化を工夫するべきだ。

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