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2006年6 月24日 (土)

高1長男逮捕;奈良3人死亡火災

  奈良県田原本町の医師(47)宅が20日早朝に全焼し、妻の医師(38)、小2の二男(7)、保育園児の長女(5)が焼死した火事で、警察は私立高校1年の長男(16)を殺人、放火の疑いで逮捕した。

各紙の報道を総合すると、両親は約10年前に再婚、長男だけが先妻の子だった。小さいころから父の職業である医師にあこがれ、父親もかなりのスパルタ教育で臨んでいたようだ。関西でも名の通った中高一貫の私学に見事合格したが中学1,2年時代には母親とぶつかり合うこともあった。最近は歩いて10数分のところにある祖父母の家で暮らしていた。秀才でスポーツマンだった長男も高校では成績も真ん中あたり。「こんな成績で希望の医学部に行けるだろうか」と悩んでいたという。放火したその日は中間試験の成績を渡す「学生保護者会」の日だった。長男は調べに対し「父親から成績で強くしかられた。暴力も受けた」と供述、母親については「日ごろからささいなことを父親に告げ口する」と不満を漏らしている。10日ほど前、父親を殺そうと部屋の前まで行ったが気付かれて果たせなかった、とも供述しているという。

<コメント>◎気になる学校の立場◎
またまた家庭内殺人事件が起きました。昨年6月には東京都板橋区の社員寮管理人の両親を高1長男が殺し、放火。今年1月には盛岡市で高1男子生徒が母親を殺害。3月には東京都世田谷区で中2男子生徒が自宅マンションに放火、生後2カ月の妹を殺害、父親らに重症を負わせる事件が発生しています。それぞれの事件は直接の動機も背景も異なりますが、家族の崩壊現象が進んでいることを強く印象付けています。今回の奈良の事件は、子どもに期待しすぎる厳しい父親といわゆる継母の存在が大きいと誰もが直感しているのではないでしょうか。長男の父親に対する殺意がなぜ、母親や幼い弟、妹に向かったのかはナゾで今後の調べを待たなくてはいけませんが、大筋の原因は見えているような気がします。

こうした事件のときに気になるのは学校の立場。大学生にまでなってしまえば別ですが、高校生段階までは学校にこうした事件の防止能力が求められがち。今回も私立高側が記者会見でいろいろ述べていますが、決局、ほとんど何も把握していなかったといういことに過ぎないように思えます。しっかり記録に残っているのは成績ぐらいしかなく、校長が「成績は緩やかな上昇カーブを描いていた」と力説する姿が空しく見えました。中高一貫教育といっても要は成績だけ、と言うのは酷に過ぎるでしょうが、公私を問わず、高校ぐらいまでは生徒の人間的把握をしっかり行うことをもっと強く求めるべきではないでしょうか。それで類似事件が完全に防げるとは思えませんが、見えないところで抑止効果を発揮したり、再発防止の知恵を絞る参考にはなるのではないでしょうか。

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