新しい学習指導要領
前々から懸案にしていた中教審の審議まとめを3日になって読み始める。文科省は3月末にも、この審議まとめを基に策定した新しい学習指導要領を告示する予定だ。正月休み中に読もうと思っていたがなかなか手が出なかった。面白いものとは最初から期待していないが、これで昨今の教育荒廃がとても止まるとは思えない空疎な感じがあるから、どうしても読むのが苦痛になる。
まとめの正式名称は「中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」(平成19年11月7日)。文科省のホームページにもアップされているが、画面ではどうにも目が滑って読みにくい。それで日本教育新聞社が別刷り資料版として作成したものを読んでいくことにした。A4判で約80ページの分厚い冊子だ。
冒頭の「これまでの経緯」では、審議が安倍前政権の教育改革路線に大きく影響された流れが書かれている。年末の回顧もの番組でも安倍さんの突然の政権投げ出しはトップニュースになっていたが、この審議まとめに漠然と感じる空疎な気分は尻切れトンボだった安倍教育改革の名残だろうか。政治が教育に手を出すと混乱を招くだけ、ということが今回も言えるのだろうが、役所任せにしていたから昨今の教育荒廃がある、とも言えるだろう。
中教審は政治や行政の隠れ蓑として利用されてきた歴史は否めない。このことを教えてくれたのはほかならぬミスター中教審と呼ばれた高村象平さん(元慶応塾長)だった。文部省を担当していたころ、飯田橋近くにあった高村さんのご自宅を訪問したとき、高村さんは中教審の内実をかなりのところまで教えてくれた。様々な圧力と戦いながら中教審は中正の道を歩んでいるというのが高村さんの言わんとしたところだが、中教審の置かれた危うい立場は印象的に心に残った。
学校教育のバイブルとも言える指導要領があまりくるくる変わるのは好ましくない。これから読みすすめていく中で、ああこう変わったほうが確かに子供は良くなるなあ、という具体的な施策が一つでもあること期待しつつ読み進めよう。
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