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2007年7 月20日 (金)

すてきな3兄妹

タラコが生まれたとき、私たちは今の家のすぐ近くのアパートにすんでいた。

私たちが引っ越した後、しばらくして小学生の兄妹3人がいる家族が越してきた。

K君、Aちゃん、S君。コンビニでお弁当を買う3人をよく見かけたので気になっていたが、とくに挨拶や声をかけるでもなかった。

タラコが1歳で歩き始めたばかりのとき、公園でよちよちしてたら、お兄ちゃんのK君が、子どもたちが無造作に止めていた自転車を、黙ってスッと端に寄せた。

S君が「どうしたの?」と聞くと「自転車が倒れたら、赤ちゃんが危ないから」とボソッと答えた。

なんて素敵な心遣いなのだろう・・・ベビーカーの横をすり抜けるように自転車で追い越していく大人がいたり、子連れに温かくないと感じることも多かったなかで、小学5年生(当時)のさりげない優しさに、涙が出そうになった。

それから私は、彼らに挨拶するようになった。彼らは軽くうなずくだけだったけど。

その後、タラコは君たちの家で生まれたんだよ、と伝えると親近感を持ってくれたのか、よくタラコと遊んでくれるようになり、仲良くなった。そして、お母さんは別居しているとわかり、コンビニ弁当のナゾも解けた。

遊んでいても、タラコが触ると危ないようなものは、タラコが気づく前に黙ってすっと隠してくれる。

S君が悪ふざけすると「赤ちゃんがマネするから、やめろ」とK君が静かに制したり、さりげなく気を利かせてくれるのが、何とも心ニクいのだ。

公園に行ったときのこと。ある子がタラコの三輪車に乗ろうとすると、タラコは貸すのがイヤだと言い張って泣き出した。その子が「もう取らないから、ごめんね」と言ってくれているのに、タラコは壊れたステレオみたいに泣き叫び、しかもその子に向かって「だいっキライ!」」とまで言い放ち、どうにも手が付けられない。

公園から退散したところで、「タラちゃんも“ごめんね”しにいこう」と説いていると、ちょうど下校時間で、Aちゃんが走ってきた。「どーしたのっ?」、ぽんとタラコの肩をたたいた。

私が事情を説明すると、Aちゃんはじっとタラコを見つめて、

「タラちゃん、ごめんねって言いたい人なんて、どこにもいないの。でもね、ごめんねって言わないとお友達を傷つけたままなんだよ。だからみんな勇気を出してごめんねって言うの。今度お友達に会ったら、勇気出してごめんねって言うのよ。」

・・・・・なんて深いことを言うんだろう。私は感動してしまって、タラコへのイライラはどこかへ行ってしまった。Aちゃん以上の言葉が見つからなかった。

こういう兄姉を見ているからか、弟のS君も、静かながらもタラコの面倒を良く見てくれる。

公園で会うと、ブランコの背中を押してくれたり、階段で手をつないでくれたり。

友達と遊ぶほうが楽しいんじゃないかと思うんだけど、進んでやってくれるので、私はこれ幸いと「楽」させてもらってる。同じクラスの女の子に「S君て優しいのね~」と声をかけられ、無視しているのが、またカワイイ。

どうしたら、こんなじんわりした優しさを持てるようになるんだろう。私自身が学ぶことの多い3人だし、何よりよく遊んでくれるので、すごく助かるのだ。

もっちろん、タラコはこの3人が大大大好き。私の言うことは聞かないくせに、くやしいことに彼らの言うことは素直に聞く。

アパートの前で彼らの姿を見つけると、静止を振り切ってすっ飛んでいく。ご飯も食べずに遊んでいる。

まったくもう!でも、ま、いいか・・・と私はお茶を一服、一息つくのである。

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コメント

人間って,悲しい思いやつらい経験をすると,人に対して優しくなれるんじゃないかと思う。
このきょうだいも,きっとそうなんだろうと思います。

助け合いながら生きているからこそ,人に対して思いやりが持てるのだと思う。

タラちゃん,いいお友だちができたね。

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