落ち着かない教室
就職協定の復活を
2年生の教室がどうも落ち着かない。学生たちの表情にも冴えがない。文章表現講座を持っている都心部のある短大。「家族への近況報告」という設定で手紙文を書かしてみて分かった。就職活動がもう終盤戦を向かえて焦っている学生が多いのだ。
「就活と言ったって君たちまだ学生になって1年しか経っていないじゃないか」と嘆いてみても仕方がない。現実がそうなのだから。短大だから2年生が卒業年次。就活はその春から、つまり入学して1年で本番を迎えているのである。
そういえば昔は曲がりなりにも新卒者の就職協定というものがあったな、と思い出して現況を文科省に問い合わせてみた。学生支援課の説明は以下のようなものだった。
協定破棄から11年
就職協定は平成8年度まであった。協定の骨子は8月1日企業訪問開始、10月1日以降内定。しかし規制緩和を求める声が高まり廃止された。現在は国公私立の大学短大専修学校などが集まり就職問題懇談会を結成し申し合わせをしている。内容は「卒業学年当初およびそれ以前は就職活動を行わないこと」と申し合わせている。当初とはゴールデンウイーク明けというのが共通認識。企業側は日本経済団体連合会が倫理規定として卒業年度に達するまで事実上の採用活動は行わないことになっているという。
つまり協定時代より半年近く就職活動が前倒しになっているのだ。就職協定も企業の青田買いで崩れたのだが、今はたぶん無法状態になっているのだろう。学生たちに聞くと4大の場合、3年生の終りに本番、という話さえあるそうだ。
社会全体が力を合わせて
教育改革の話が盛んだがこのあたりの問題はついぞ出てこないような気がする。学生にはもっと落ち着いて勉強させるべきだ。解禁は最終学年の年明け1月以降、ぐらいにして落ち着いて勉学に取り組ませなくてはいけない。そのためには社会全体が力をあわせなくてはいけないが、それができなくて制度ばかりいじったところで効果ある改革ができるはずがない。
コメント