「集団自決」教科書検定、仕切り直し
「軍の強制」復活で訂正申請へ;教科書会社
「沖縄戦での集団自殺はやはり旧日本軍による強制だった、と教科書の記述を訂正する」と、執筆者の1人である高校教師が23日、記者会見して発表した(各紙24日朝刊)。発行元の教科書会社編集者とも合意済みといい、来週中には文科省に訂正申請する方針。文科省は強制ではないとする検定意見を変えていず、処理がどうなるかは不透明だ。 文科省は来春から使う高校日本史の教科書の検定で、沖縄戦での集団自殺は「旧日本軍の強制」によるものとの記述があった5社の教科書の記述を削除させた。これに対し地元沖縄では文科省の教科書検定に反発する大規模な集会が開かれた。これを受けて政府は地元感情に配慮して記述の訂正を認める方向だが、文科省は検定意見を変えていず政治決着の方法は不透明。しかし、来春からの使用に間に合わせるためには11月初めまでに訂正申請するしか方法がないと、この日の記者会見になったという。
<谷口のコメント>
◎教科書執筆者は学者の良心を持て◎
沖縄戦での集団自殺に軍の強制があったか、なかったか。真実は一つであるはずなのに、なぜ同じような騒ぎが何度も繰り返されるのだろうか。史実の発掘はどこまで進んでおり、どのような論点が残されているのか。こうした説明が十分国民に説明されないまま、文章の削除、書き換え要求と安易な受け入れなど乱暴なことが繰り返されている。密室性が強い文科省の教科書検定にも問題があるが、教科書会社、それ以上に執筆者に責任はないのか。教科書無償・検定制度の中で文科省にはひたすら弱い教科書会社はともかく、執筆者は自分の学問的信念に従った行動をしてほしい。最初から問題になりそうな箇所は書かない“自粛”執筆も横行していると聞く。この日、あえて記者会見に踏み切った坂本昇教諭には「いまさらながらのスタンドプレー」の批判も出るだろうが、執筆者は彼のように恥を知り、勇気をまずは持て、と言いたい。騒ぎになれば政治決着、のパターンをいつまでも繰り返さないでおこう。
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