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2007年9 月 1日 (土)

小中学校のカリキュラム改訂素案を提示;文科省

主要教科と保健・体育授業を各1割増
    今年度中に学習指導要領の改訂を目指している文科省はカリキュラムの枠組み素案を小学校については8月30日、中学校については31日にそれぞれ中教審小、中学校両部会に示した(各紙31日朝刊、夕刊)。授業時間数の増加ということでは「ゆとり」教育から舵を切ったとも言えるが、カリキュラムの基本的考え方としては従来の「生きる力」の涵養を堅持している。
総合的学習の時間削減と夏休み短縮などで増加に対応

骨組みの考え方は小中学校とも共通している。基礎学力の強化、体力向上を、という要請に応えるため、小学校は国語、算数、理科、社会の主要4教科と体育、中学校は国語、数学、理科、社会、外国語の主要5教科と保健体育について約1割、授業時間数を増やす。小学校高学年を対象に週1コマ程度の英語学習の時間を新設する。逆に総合的学習の時間はいずれも週1コマずつ減らすことにした。
こうした増減の結果、差し引きで小中学校とも学年によって授業時間数は週1コマないし2コマ増になる。この増加分は新たに週のコマ数を増やしたり夏休みを短縮するなどしてひねり出すが、具体的には教委や学校の裁量に任される。

<谷口のコメント>
◎いかにも中途半端◎
 授業時間数の割り振りが指導要領改訂の中心である。どのような教育を進めるかの理念が1週間の学校時間割の形で示される、と言ってよい。その意味でコマ数の微調整に終始している枠組み素案はとても中途半端で、教育改革の中心となる理念が見えてこない。小学校高学年での英語の導入もほとんどの小学校がすでに総合的学習の時間に英語学習を取り入れていることを考えれば新味はない。学校週5日制で行く限り、これ以上授業時間数を増やしようがないからやりようがない、とうことか。また、ゆとり教育の象徴でもある「生きる力」の涵養を看板からはずしていないところを見ると、これまでの路線は基本的に間違っていない、と主張しているようにも見える。官邸主導による教育再生会議のざっぱくな密室論議でも困るが、文科省のお役人たちの微温的路線からもまた改革の方向性が見えてこないのは困ったものだ。

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