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2006年6 月 8日 (木)

風速強まる教委無用論:経済財政諮問会議

7日に開かれた政府の経済財政諮問会議で、都道府県や市町村が教育委員会を設置するかどうかは自由選択に任せるように地方自治法を改正した方が良いと中馬行政改革相が提案した(読売8日朝刊4面)。規制改革・民間開放推進会議の宮内義彦議長(オリックス会長)もこの意見に賛同した。中馬氏らは教育委員会について「文科省の指導を教育現場に伝えるだけで、児童や保護者の視点が足りない」と批判。小坂文科相は「政治的中立を守るためには必要だ」と反発し、調整を続けることになった。
<コメント>
  政治面2段組の小さな記事で会議の詳細は不明ですが「教委無用論」の拡大を強く印象付けるニュースと受け止めました。教育委員会は地方自治法第180条で選挙管理委員会、公安員会などとともに自治体に設置が義務付けられています。小坂文科相が言うように、教育への政治介入を防ぐために戦後取り入れられた制度です。

ところが教育荒廃が叫ばれると共に教委が機能していないと言う批判が高まってきました。単なる文科省の伝達機関ではないのか、という指摘や私立学校は教委でなく一般の部局で担当する統一性のなさなどが問題点として挙げられています。「政治的中立を守る」という大義名分も怪しいのも事実です。教育委員は首長(知事、市区町村長)が任命するわけですし、教育長も現実には首長人事の一貫です。もちろん独自の予算権限もありません。首長が変われば教委の姿勢が大きく変わるのは最近の都教委の日の丸・君が代強制でも明らかではないでしょうか。

しかし、教育行政の中立を守り、住民密着の教育を運営していくという教委制度の理念は尊重していく必要があると考えます。むしろ教委制度が中途半端なままで置かれて来たことに問題があります。例えば教育委員公選制。戦後の1時期、教育委員は住民の選挙で選ばれてきました。しかし投票率が低すぎるなどの理由で法改正され、首長の任命制になって長い年月が経ちます。これに反発した東京都中野区民が1979年に住民直接請求を成立させて独自の教育委員準公選制を導入しましたが、投票の形がとられたのは数年だけで現在は自薦他薦による人材登録制度へと変質しています。

先に民主党が発表した教育基本法でも教育行政は地方公共団体の「長」が行うと規定しました。同時に「教育行政に関する民主的な組織を整備する」となっていますが、現行の教委制度にノーを突きつけているように読めます。このように与野党共に教委無用論が風速を強める中で「では住民サイドの教育行政とは何なのか」という議論をもっと高める必要がありそうです。

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