読売・識者座談会;犯罪から子どもを守れ
7日読売朝刊11面(東京本社版)は、相次ぐ子ども殺しをどう考え、いかに対処するかをめぐる4識者の座談会を全面で掲載した。小宮信夫(立正大教授)、吉岡忍(ノンフイクション作家)、影山任佐(東工大教授)、芹沢俊介(社会評論家)の4氏。
秋田の事件をどう捉えるかについて、社会に広がる無力感が子どもへの暴力に転化していく傾向が強く、それを阻止する地域社会の人間関係や「文化力」が衰微しているなどの指摘が出された。ここ10年、政治も行政も不景気を理由に地域社会の再生をまじめにやってこなかったことを問う声があり、自殺者増も問題とされた。増加する自殺者対策を放置したままでいくら「命が大切だ」と言ってもむなしく、「弱肉強食、弱者は死ぬということが子どもたちに伝わってしまう」との指摘があった。社会の緊張がそのまま家庭に持ち込まれている、という認識でおおむね4識者は一致、監視よりふれあいを増していくことが基本だが、交番に「お巡りさん」がいないなど警察力の弱体化も問題とされた。
<コメント>秋田の小1殺害が隣人によるものとの容疑が濃厚になったことを踏まえて緊急に企画された座談会。集団登下校などの対処療法に止まらない深みのある座談会となった。今後の議論に手がかりを与えるものとして評価できる。今、小泉改革評価論に象徴される「格差社会」とそこに連動する命の軽視が相次ぐ事件に投影されているのでは、という漠然とした不安は多くの国民が抱いていることだろう。そこの議論を抜きにして「不審者対策」だけを強化しても、人を信じないいびつな子どもたちを生み出していくだけではないか。座談会で『地域安全マップ』作りで知られる小宮山氏が、「誰も信用するな」という差別教育につながっては問題であり、安全マップ作りでは子どもたちが住民にインタビューし、ふれあいを学んでいくことに意義がある、と強調しているのも好感が持てた。
秋田の事件をどう捉えるかについて、社会に広がる無力感が子どもへの暴力に転化していく傾向が強く、それを阻止する地域社会の人間関係や「文化力」が衰微しているなどの指摘が出された。ここ10年、政治も行政も不景気を理由に地域社会の再生をまじめにやってこなかったことを問う声があり、自殺者増も問題とされた。増加する自殺者対策を放置したままでいくら「命が大切だ」と言ってもむなしく、「弱肉強食、弱者は死ぬということが子どもたちに伝わってしまう」との指摘があった。社会の緊張がそのまま家庭に持ち込まれている、という認識でおおむね4識者は一致、監視よりふれあいを増していくことが基本だが、交番に「お巡りさん」がいないなど警察力の弱体化も問題とされた。
<コメント>秋田の小1殺害が隣人によるものとの容疑が濃厚になったことを踏まえて緊急に企画された座談会。集団登下校などの対処療法に止まらない深みのある座談会となった。今後の議論に手がかりを与えるものとして評価できる。今、小泉改革評価論に象徴される「格差社会」とそこに連動する命の軽視が相次ぐ事件に投影されているのでは、という漠然とした不安は多くの国民が抱いていることだろう。そこの議論を抜きにして「不審者対策」だけを強化しても、人を信じないいびつな子どもたちを生み出していくだけではないか。座談会で『地域安全マップ』作りで知られる小宮山氏が、「誰も信用するな」という差別教育につながっては問題であり、安全マップ作りでは子どもたちが住民にインタビューし、ふれあいを学んでいくことに意義がある、と強調しているのも好感が持てた。
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