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2006年5 月26日 (金)

通知表で「愛国心」評価

小学校の通知表に「愛国心」を評価(採点)する項目を設け、先生が3段階で絶対評価している小学校が埼玉県内で52校に上り、岩手、茨城、愛知などにも同様の事例があることが毎日新聞の全国調査で分かった。02年度から改定された学習指導要領で小6社会科の教える目標の中に「わが国の歴史や伝統を大切にし、国を愛する心情を育てる」ことが盛り込まれて以来のことという。どのような観点から通知表で評価するかについては「わが国の歴史と政治、および国際社会での日本の役割に関心を持って意欲的に調べ、自国を愛し、世界の平和を願う自覚を持とうとする」こととなっている。ある校長は「愛国心というより学習の意欲や態度を評価する項目だ。指導要領にも沿っているので問題はない」と話している。24日の国会論議で小泉首相は「愛国心があるかどうか、そんな評価は必要ない」と答弁している。(毎日26日朝刊社会面)

<コメント>教えることと評価(採点)は切っても切れない関係にあります。教育に評価は不可欠と言っていいでしょう。学校で何を教えるかの基準である学習指導要領に盛り込まれれば教えることになり、教えれば評価しよとするのは当然の流れです。その意味で言えば、毎日の全国調査にこの程度の数しか表れてこないのは不思議です。通知表は学校長の権限で作られますが「調査していない」などと不届き千万な回答をしている県教委などは逃げているのか? その点、県内の様子をしっかり把握し公開する埼玉県は立派です。それにしてもこの少なさは学習指導要領の権威にかかわる数字であり、ひいてはその作成の基になった中教審答申の妥当性が疑われます。中教審の政治的独走が学校現場に支持されなかった、とも言えるからです。
ところで、ある校長が言っている「学習の意欲や態度を評価するものだから(正当)」という論法は詭弁です。愛国心を学ぶことに消極的である意味とは何か、それはとりもなおさず愛国心がないということにつながるのではないでしょうか。内面に係わる問題、というのはそういう意味合いのことだと思います。また、内申書の「態度」点が教師による生徒支配の強力な武器であることは周知の事実です。「学ぶ態度が悪い」と通信簿を下げられては子どもたちは内心の声に反して愛国心に関心を示すしかなくなるのです。記事に付けられた識者談話の見出し<内心の自由侵す>はまさにその通りであると言えるでしょう。

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