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2011年1 月23日 (日)

NIEの参考に①

 

 ジュニア紙人気


 ジュニア紙、特に毎日小学生新聞に注目が集まっています。同紙
がもう3年近くも対前月比の部数増が続いていることや地域紙で毎
小と提携して独自のジュニア紙発行を目指すところがあったりする
からです。読売新聞がこの春から週刊の小学生新聞を発行すると伝
えられることもジュニア紙への注目を高めることになっているよう
です。今日は大人の新聞を離れて、注目される毎小を中心にジュニ
ア紙を考えてみたいと思います。

 毎小は今年で創刊75周年を迎える日刊紙。子どもの肩幅に合わ
せてタブロイド版で作られています。他に日刊の朝日小学生新聞が
あり、両紙が日本を代表するジュニア紙と言えるでしょう。少しデ
ータは古いですが、10年前の私の調べでは世界に日刊のジュニア
紙はフイリピンに1例が見つかっただけでした。と思います。部数
増の理由の一つに上げられるのが、中部圏での毎日販売網の見直し。
周辺部はほとんど毎日の配達を中日新聞に預けるようになりました。
それで毎小を初めて見た中日新聞販売店が、新商品として興味を示
して売ってくれていると聞きました。また日能研など塾と連携しサ
ンプルを配ってもらうなどの方法で知名度を上げたことも指摘され
ています。

 しかし、毎小編集部のためにも特筆したいのは、やはり紙面改革
の力なのです。2007年以来の大幅な紙面改革で、それまで多かった
勉強系の読み物を中面に整理し、1面はニュースと解説に重点を置
く講成にしました。本紙のリライトではなく、「日々のニュースを
分かりやすく伝える」というコンセプトを徹底したことも受け入れ
られたようです。NHK出身のジャーナリスト、池上彰さんの起用も大
当たり。昨年、フジテレビの「ミスターニュース」で池上さんが毎
小を紹介したところ、1週間で800件もの問い合わせがあったそうで
す。

 ただ、こうした毎小の個別事情を超えて今、ジュニア紙に注目が
集まっています。特に地方紙が併読紙としてジュニア紙の創刊を企
画するところが多いようなのです。毎小にも地方紙からの視察が時
にあるようですが、ジュニア紙が意外に製作コストがかることを知
って独自製作をあきらめるケースがあるようです。それなら、と毎
小のコンテンツを買って自社製のジュニア紙を作ったのが琉球新報
の「新報小中学生新聞 りゅうPON!」(週刊)。毎日関係者に
よると他にもいくつかの新聞社と毎小コンテンツの提携話があった
そうです。

 では、こうしたジュニア紙人気の奥底にあるものは何なのでしょ
うか。新聞本紙をめぐる環境のあまりの冷え込みでジュニア紙に活
路を求めた、という見方もあるようですが、私は新聞の持つ本来の
教育機能が認められてきたのだと考えたいのです。その一つの流れ
が、この4月から小学校で本格的にスタートする新しい教育課程に
象徴されていることはこのマガジンを読んでおられる先生方なら釈
迦に説法です。学校の授業のやり方など教育課程のもとになる学習
指導要領の今回の改訂で、これまでほとんど触れられていなかった
新聞を利用した学習指導を展開することが随所に書かれたことが大
きいわけですね。自分の頭で考えるNIEの良さが認められているわけ
で、まさにNIEの勧めと言えるでしょう。

 ここで課題となるのが、ジュニア紙がNIEに耐えうるか、という
ことです。日刊ではあるが本紙ほどリアルタイムで編集製作されて
いないため速報性で本紙に劣ることは否めません。また、ジュニア
紙は読み物の記事にもスペースを割いているので、ニュースのバラ
エティがない、などの弱点があります。しかし一方で、ニュース記
事が子どもでもわかる様に噛み砕いて、視点すら変えながら編集さ
れている強みもあります。また、子どもたちに読んでほしいニュー
スがセレクトされている利点もあるのは言うまでもありません。学
校の先生方にはぜひジュニア紙でのNIE授業の展開に取り組んでいた
だきたいと願います。

 実はさらに大きな壁は、NIE展開の上でジュニア紙の最大の弱み
が選択肢の少なさにあるということです。小学校の場合、現状では
毎小,朝小のほかにほとんどないと言っていい状況で、各紙が共同
歩調を取ってNIEを推進する上では不都合なことになります。しかし、
将来の新聞読者を育てるためにも小学校でのジュニア紙導入を新聞
社、学校あるいは方法を工夫すれば国も一体となってぜひ進めてほ
しいと思います。

 

 

 


 

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